壁紙に黒いシミが出てきて、「そろそろ張り替えようかな」と思ったことはありませんか。
その黒ずみがカビなら、張替え前に原因を確かめないと、せっかくの新しいクロスが、またすぐ汚れてしまいます。
カビの状態や原因によって、必要な作業も費用も変わります。
表面だけのカビなら拭き取りと防カビ下地こともありますが、下地や石膏ボードまで傷んでいると交換が必要になり、費用は数万円単位で増えることもあります。
さらに結露や漏水が原因なら、修理や断熱改善が先決です。
この記事では、防カビ処理・ボード交換・漏水修理のリアル相場を分かりや差すく解説します。
見積書で確認すべきポイントも紹介しますので、単価は当てにならない?クロス張替え費用の真実/→「㎡単価は当てにならない?クロス張替え費用の真実」とあわせて読むと理解が深まります。
カビに悩まされない快適な部屋づくりの第一歩を一緒に考えましょう。
(外部リンク例:→『カビ』は喘息の再発・悪化、 アレルギーの原因になります
もくじ
クロス張替え×カビ:追加費用の全体像と「原因別」の考え方
カビがある状態でクロスを張り替えるとき、追加費用は「どこまで作業するか」で大きく変わります。
表面だけの軽度なカビなら防カビ下地処理のみで済むこともあります。
下地や石膏ボードに広がっていれば撤去と交換が必要になる恐れがあり、施工範囲が広いほど費用が上がります。
さらに、結露や漏水が原因なら修理工事も別途発生します。
まずは原因と範囲を把握することが、余計な出費を防ぐ第一歩です。
表面カビ(軽度)の処置と追加費用目安:拭き取り・漂白・防カビ下地
表面だけの軽いカビなら、拭き取りや漂白剤による除去、防カビ剤を含んだ下地処理で対応できます。
追加費用は1㎡あたり数百円〜1,000円程度が目安です。
ただし、表面だけ処理しても結露や湿気が残ったままだと再発します。
下地カビ(中度)の処置と費用:殺菌洗浄+下地補修の工程
下地に黒ずみが広がっている場合、表面だけでは不十分です。
カビを殺菌したうえでパテ補修や下地再生を行い、その上にクロスを貼ります。
費用は1㎡あたり2,000〜4,000円程度かかることが多いです。
この工程を省くと新しいクロスが短期間でまた変色する可能性があります。
下地腐朽・広範囲(重度)の費用レンジ:剥がし・撤去・復旧の全体像
石膏ボードまで腐っている場合は、全面撤去・新規交換が必要です。
作業には剥がし、養生、産廃処理、復旧が含まれ、6畳なら5〜10万円前後になることもあります。
被害が広範囲なら部分張替えでは対応できません。
砂壁はそのまま貼れない!クロス張替え前に知るべき【実際の施工手順】←で下地準備の重要性も確認しておきましょう。
下の画像は、防カビ剤をボードに塗り込んでいる様子です。
石膏ボード交換が必要なケースと費用相場|部分交換〜部屋全体
カビが下地まで進行している場合、石膏ボードを交換する必要があります。
特に黒カビや軟化した部分は放置すると再発や健康リスクにつながります。
交換作業では古いクロスとボードを剥がし、下地を新しくしてから仕上げます。
施工範囲によって費用が大きく変わるため、見積書の数量と単価を必ず確認しましょう。
1〜3枚の部分交換:判断基準と単価の目安
石膏ボードは910×1820mmが1枚の規格です。
1〜3枚程度の交換なら部分補修として対応可能で、1枚あたり5,000〜8,000円が目安です。
補修跡はパテで平滑にしてからクロスを貼るため、仕上がりはほとんど分かりません。
部分交換で済むかどうかは、カビの範囲や含水率測定で判断します。
6畳・1LDK・3LDKでの全体交換の考え方(概算の枠組み)
部屋全体のボード交換になると、養生・解体・復旧の手間がかかり、費用は6畳でおよそ10〜20万円が目安です。
1LDKや3LDKの全面改修になると30万円〜60万円と大きな出費になります。
〖クロス張替え期間〗
6畳・1LDK・3LDKは何日?
〖クロス張替え期間〗
6畳・1LDK・3LDKは何日?」も参考に、工期の目安を確認しておくと安心です。
養生・産廃・復旧の追加項目:どこで費用が膨らむか
ボード交換では材料費だけでなく、養生費や廃材処分費も発生します。
特にカビが広範囲に出ている場合は、産廃費用が1万円以上になることも珍しくありません。
見積書では「撤去費」・「廃材処理費」・「下地調整費」
といった項目が含まれているかを必ず確認しましょう。
クロス張替えが高くなる理由7選/→「マンションのクロス張替えが高くなる理由7選」
にも、追加費用がかかる理由がまとめられています。
下の画像の細い壁部分ですが、壁の下ので、カビが繁殖しています。
漏水・雨漏り・結露で変わる修理費用と工程の違い
カビの元は大きく三つに分かれます。
結露、雨漏り、そして給排水の漏水です。
同じ「黒ずみ」に見えても原因が違えば、直し方も金額も別物になります。
まずは「どこから水が来たのか」を押さえ、次に「濡れた範囲」を見極めるのが近道です。
ここを踏まえると、余計な工事を避けつつ、再発しない計画が立てやすくなります。
工期の考え方は重複を避け、詳しくは→〖クロス張替え期間〗6畳・1LDK・3LDKは何日?住みながらの工期と流れをご覧ください。
結露起因:窓際・北側壁・収納の対策とコスト(断熱・換気の併用)
結露が原因なら、壁紙だけ替えても同じ季節にまた濡れてカビが戻ります。
大事なのは湿度と温度差を同時に下げることです。
暮らしの目安としては室内湿度60%以下を保つとカビ・ダニの発生を抑えやすいとされます。
換気や除湿で湿気を逃がし、窓は内窓や断熱ガラス、サッシまわりの結露対策を組み合わせると効果が安定します。
費用は、防カビ下地+張替えで数千円〜数万円規模、窓の改修まで踏み込むと数万円〜十数万円が目安です。
窓まわりの基本対策は日本サッシ協会の解説が実用的で、東京都の「健康・快適居住環境の指針」も湿度管理の根拠になります。
→快適居住環境の指針“
→建築研究所|内部結露の考え方
雨漏り/給排水漏れ起因:一次修理と内装復旧の費用段階
天井や外壁からの雨漏り、キッチン・洗面・トイレ配管の漏水は、まず水の入口(一次修理)を止めるのが先です。
入口を直さないまま壁紙を替えると、すぐに染みが戻り、ボードも痛みます。
費用はケース差が大きいですが、漏水調査 1万〜5万円前後、小規模な配管補修は数万円、広範囲の復旧は10万円超になることもあります。
入口を止めたら、含水が高い部分を乾かし、必要なら石膏ボードの部交換→防カビ下地→張替えの順に進めます。
調査費の目安は業界記事も参考になります(地域・物件条件で変動)。
漏水調査の費用相場(解説記事)
→水道工事・修理は指定店|料金・費用・相場「生活水道センター」
原因調査の費用目安:含水率測定・点検口・内視鏡の活用
「壁紙をめくってみないと分からない」を最小限にするため、含水率計や内視鏡で点検口から覗く方法があります。
小規模の現地調査に含まれることもありますが、追加で数千円〜数万円のラインアイテムになる場合があります。
調査の狙いは、ボード交換が必要な範囲と乾燥で回復する範囲を切り分け、無駄な解体を避けることです。
工程が見えれば、張替え費用の考え方は→「㎡単価は当てにならない?クロス張替え費用の真実」のロジックで読み解けます(重複のため要点のみ)。
健康不安が強い場合は、公的資料でカビと健康の基礎知識も確認しておくと安心です。
→東京都保険医療ポータル
防カビ壁紙と防カビ糊の“効く条件”|材料費と施工費の現実
「防カビ」と書いてある壁紙や糊を選べばもう安心…と思いがちですが、実は万能ではありません。
防カビ性能は試験条件下での評価で、湿度や換気の状態が悪いと十分に効果を発揮できないこともあります。
施工環境や下地処理とセットで考えることで、はじめて再発防止に近づきます。
防カビ等級の見方と誤解しやすいポイント
壁紙のカタログには「防カビ性能JIS規格対応」などと書かれていますが、これはカビが生えにくいかを試験した結果です。
空気中の湿度が高いままでは性能が追いつかないこともある点に注意が必要です。
材料費は通常のビニルクロスより1㎡あたり数十円高い程度なので、コスト差は小さいです。
詳しい等級の見方はサンゲツやリリカラなどの公式カタログも参考になります。
→ サンゲツ壁紙カタログ
調湿・通気系クロスの向き不向き(トイレ/洗面/クローゼット)
調湿機能のあるクロスは湿気を吸ったり放出したりしてカビの発生を抑えます。
ただし、トイレや洗面所など水が飛ぶ場所では吸水しすぎてシミになる可能性もあります。
クローゼットや北側の部屋など、換気が悪い空間に選ぶと効果的です。
費用は通常クロスより1㎡あたり200〜500円程度アップするのが一般的です。
下地処理材・防カビ糊の選び方:施工環境と耐久性の関係
防カビ糊は、糊の中に防カビ剤を混ぜてカビの発生を防ぐものです。
しかし、糊は施工後数日で乾燥するため、防カビ効果は長期的ではありません。
効果を高めるには、下地の殺菌洗浄や防カビシーラーを併用し、換気をしっかり確保することが重要です。
施工費は平米単価に数百円プラス程度ですが、下地処理を含めると総額はやや増えます。
→リリカラ公式サイトの施工マニュアルも参考になります。
見積もりの読み方と費用を抑えるコツ|再発防止を前提に設計する
カビが原因のクロス張替えは、作業範囲が広がりやすく費用も膨らみがちです。
だからこそ見積書の項目と数量をしっかり確認することが、無駄な支出を避ける近道です。
特に
「撤去費」
「下地処理費」
「養生費」
「産廃処理費」
が含まれているかを必ずチェックしましょう。
見積書チェックリスト:カビ関連の行と単価を見るコツ
見積書には、クロス張替えの基本工賃だけでなく、カビ除去や下地補修の費用が別行で載ることがあります。
「一式」表記だと内訳が分からないこともあるので、可能なら数量と単価を出してもらいましょう。
詳しい費用の考え方は→「㎡単価は当てにならない?クロス張替え費用の真実」が参考になります。
工期と生活影響の見通し
カビ対策を伴う張替えは、乾燥や消毒の工程が入る分、通常より工期が伸びることがあります。
工事中に住めるかどうか、養生や家具移動が必要かなどを事前に把握しておくと安心です。
詳細は→〖クロス張替え期間〗6畳・1LDK・3LDKは何日?に分かりやすくまとまっています。
失敗しない発注手順:現調→原因特定→処置→仕上げ
一番大切なのは、原因を調べてから張替えを計画することです。
現地調査でカビの範囲と原因を把握し、必要な修理を先に済ませる。
そのうえで防カビ処理や張替えを行えば、二重工事や再発を避けられます。
→マンションのクロス張替えが高くなる理由7選でも追加工事が発生する流れが解説されています。
まとめ
カビがある状態でクロスを張り替えるときは、まず原因と範囲を確認することが大切です。
表面だけのカビなら防カビ下地で済みますが、下地や石膏ボードまで傷んでいると交換費用がかかります。
さらに結露や漏水が原因なら、先に修理や断熱改善をしておかないと再発します。
見積書では「下地補修費」「撤去費」「産廃費」などが明確になっているか確認しましょう。
数量と単価を出してもらえば、不要な追加費用を防ぎやすくなります。
防カビ壁紙や防カビ糊は、換気や湿度管理と組み合わせることで効果が高まります。
住まいの環境を整えてから施工することで、長く快適な壁を保てます。
迷ったら、現地調査と原因診断をしてくれる施工会社に相談してみましょう。